一般外科医りくの雑記帳

―私が後輩に伝えたいこと―

【Q&A】救急専門医について知っていることがあれば教えていただきたいです。

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医師という職業に興味のある高校生向けに講演を行った際に、質問をいただきました。

 

【質問】救急専門医について知っていることがあれば教えていただきたいです。

 

【回答】

僕自身、大学生の頃に聞いた話なので、正確性に欠けるかもしれませんが…。
昔は救急の専門医というものはなく、多くの病院で来た患者さんの病状に応じて、それぞれの科の先生がその都度呼ばれて対応していました。
例えば頭を怪我した人が来たら、その日出勤している脳外科医が呼ばれ、腹痛の人が来たらその日出勤している消化器内科医が呼ばれ対応する、といった具合でしょうか。
そのため、呼吸器や整形などの専門を取得した上で、さらに救急も診ているという人がほとんどだったようです。


その後、救急現場におけるファーストタッチ及び早急な対応の重要性、専門性が見直され、さらに専門医制度によって救急科という分野の確立がされていったそうです。
そのため、始めから救急だけを専門としてやっているという医師は、私より5、6年上の世代あたりから増え始めたと聞いた事があります。


救急科専門の取得後に2段階目として取得可能なサブスペシャリティ領域には、集中治療や外傷、熱傷、中毒などの専門領域があるそうです。
救急科は、病院の規模や地域性によって体制がかなり異なるようなので、どの病院の救急で仕事をするかによって、得られる技術や知識、求められる範囲は大きく変わってきます。最初のファーストタッチのみ行い、病状が安定していればすぐに専門の他科へ流す病院もあれば、

小さな手術ならその場で救急科医で行ってしまう病院もあれば、人手が足りないため集中治療などその後の管理も主治医として持たなければならない病院もあれば、
主治医制ではないので、救急対応が終わっていれば定時で上がれる病院もあるのだとか。


同じ救急科でも、地域や病院によって様々あるようです。
大きな夢に向かって、充実した高校生活をお過ごしください。(*´ω`)