【初期研修医向け】手術直前にできること
初期研修のローテートで外科を回れば、必ず手術に入ります。
手術室ではオペ室看護師、麻酔科医、外科医たちがせわしなく手術の準備をしています。
「ほら、ただボーっと突っ立ってるだけで、何もしなかったら意味ないよ!」
そんな事言われても、何すればいいのかわからん!!
ということで、手術直前の流れや、研修医ができる仕事についてまとめてみました。
1.ベッド移動
もちろん自力歩行が可能な人だったら自分でベッドに寝ます。
けど、寝たきりの人の場合は、病棟ベッドから手術台へ移動させないといけません。
☆初期研修の先生ができる事☆
ベッド移動の介助
ベッド移動するときは、人手があるに越したことはありません。
なので、率先して患者さんの脇にスタンバイして移動の介助をしましょう。
この時、大抵は頭側にいる麻酔科医が声掛けをすると思います。
「準備はいい?じゃー、1,2の3!」
掛け声に合わせて皆で協力して移動介助をしましょう。
この時くれぐれも腰を痛めないように注意してください!
2.麻酔導入
患者さんが手術台に横になったら、バイタルを測定して、いよいよ麻酔導入します。
麻酔導入は基本的に麻酔科の先生がやってくれます。
☆初期研修の先生ができる事☆
声掛け
患者さんへの声掛けは、一見地味に思えますが、超重要な仕事です!
我々医療従事者は、今何をしているのか、この後何をするのかを把握していますが、患者さんは何もわかりませんし、不安な気持ちでいっぱいです。
何もしていなくても、声掛けを積極的に行ってあげることによって、患者さんは安心することができます。
- 「それでは手術、がんばりましょうね。よろしくお願いします。」
- 「寒くないですか?何かございましたら遠慮なく言ってくださいね」
- 「今、色々準備をしている所なので、少々お待ちください」
- 「手術が終わったらまた声かけますね」
患者さんにとって、 手術室は非日常的空間です。
大半の人が、不安や心配な気持ちでいっぱいだと思います。
時々声をかけてあげて、安心感を与えてあげることは、研修医の先生でも十分できるとても大切な仕事です。
麻酔の介助
これは大抵の場合、手慣れたオペ看さんがやってくれると思います。
なので慣れないうちは無理してやらなくてもよいです。
具体的にどんな介助があるのか、ざっと紹介だけします。
BURP法
挿管するとき、麻酔科の先生に「ちょっと首押してくれる?」って言われたらこれ。
喉頭部を見えやすくする事が目的なので、麻酔科医の指示に従って、軽く甲状軟骨を後方(Back)・上方(Up)・右方(Right)へ圧迫(Pressure)します。
Sellick手技
一見BURP法に似てますが、目的が違います。
緊急手術などで術前絶食をしておらず胃内容物があり、嘔吐の恐れがある場合に、食道を圧迫させてそれを防ぐことが目的です。
輪状軟骨をそこそこ強い力(30N=約3kg)で後方に押してください。
挿管介助
挿管時、麻酔科の先生に挿管チューブを渡してあげます。
手渡しの際は、チューブの方向を注意して、挿管しやすい方向で渡します。
挿管チューブがいい位置に入ったら「スタイレット抜いて」って言われると思うので、挿管チューブ内のスタイレットを優しく抜きましょう。
最後にカフ(バルーン)を空気で膨らませます。
量は適宜調節しますが、大体5~10ml程度のAirでよいと思います。
それぞれ細かく知りたい場合は、各々調べてみてください💦
3.膀胱留置カテーテル挿入
麻酔導入後は、膀胱留置カテーテル(バルーン)を挿入します。
手術の種類によっては入れない場合もあるので、そこは主治医の先生に確認してみてください。
☆初期研修の先生ができる事☆
バルーン挿入の介助
基本的にバルーン挿入は清潔操作なので、介助するときは清潔・不潔に気を付けてください。
カテーテルを施行者に渡したり、挿入後にお腹を圧迫して排尿を確認したりします。
上級医の指導の下、実際に挿入をすることもあるので、それまでにしっかりと手順を見て確認しておいてください。
4.剃毛
手術予定部位の体毛が濃い場合はサージカルクリッパーで剃毛します。
創部以外にも、電気メスの対極板を張り付ける箇所なども、必要に応じて剃毛します。
☆初期研修の先生ができる事☆
剃毛の介助
基本的に執刀医が剃毛すると思います。
抜けた体毛をテープ等でペタペタ集めて、術野をきれいにしてもらえると助かります。
5.フットポンプ装着
手術内容や患者さんによっては、フットポンプを付けたり、弾性ストッキングを履く場合があります。
☆初期研修の先生ができる事☆
フットポンプ装着
やり方がわからなくても、対側をやっている看護師さんの真似をすればできると思います(笑)
とてもわかりやすい動画があったので、見た事がない人は見てみてください。
6.体位変換
臥位で手術することもあれば、砕石位などに体位を変換することもあります。
☆初期研修の先生ができる事☆
体位変換
レビテーター(支脚器)を手術台に装着したり、足を固定したりします。
こちらも対側をやっている上級医の真似をすればできると思います。
下肢を上げる際は麻酔科の先生に「足上げます」と、一声かけてから行いましょう。
7.ローテーションテスト
最後に手術台をローテーションさせて、患者さんがずれ落ちないかどうかチェックをします。
☆初期研修の先生ができる事☆
側面に立って待機
ローテーションテストで、万が一患者さんが手術台から落ちそうになった場合に備えて、すぐに支えられるようにスタンバっていてください。
問題がなければ、いよいよ手術に入るということで、手洗いをしに行きます。
まとめ
これで全てという訳ではありませんが、大まかな流れは大体こんな感じです。
最初は何をやっているのか、全然わからないかもしれませんが、何度か見ていれば大体どんなことをするのかが分かってくると思います。
研修医といえどローテート中のあなたは、外科チームの一員です。
是非、積極的に手を動かして、一緒に頑張りましょう!